大阪国立国際美術館  クリスチャン・ボルタンスキーの心の闇

  • 2019.05.17 Friday
  • 03:45

JUGEMテーマ:アート、デザイン、日々 / Art, Design, LIFE

 

 

 

 

 

大阪の最後に訪ねた「大阪国立国際美術館」は時々訪ねる美術館です。

すっかり夜になってしまいましたが、薄いブルーの夜空と光が点滅する建物が美しい。

 

 

 

 

 

 

     「クリスチャン・ボルタンスキー大回顧展」へ

 

訪ねた日は5月4日の連休で車が混むことはわかっていましたが、神戸にあるアンティーク SHOPにレストランのための「椅子」を取り置きしてもらっていたことと、6日7日は東京で難しく混むことも覚悟で出かけました。

 

 

椅子もどんなデザインでもいいわけではなく、美術館も観ておきたいものが次々と開催されます。

もう少し好奇心が少ないと良かったのですが、幾つになっても好奇心があふれています。

 

 

 

美術館を訪ねたのは閉館時間ギリギリでしたが土曜日だったので20時まで観ることができました。

ボルタンスキーの作品はなんとか時間を作って観たいと思っていました。

 

 

 

 

 

 

クリスチャン・ボルタンスキーはフランスの彫刻家で写真家・画家・映画監督という現代アーティスト。

1944年パリで生まれ、父親はユダヤ人で母はフランス人という家庭に生まれ、幼い日の記憶にはホロコースト(ユダヤ人虐殺)の記憶も含まれていて、その記憶から多くの作品が生まれていました。

 

 

 

《青春時代の記憶》(2001年)。誰のものかわからない写真がコラージュされたボード。誰にでも見覚えがあるような、集合的な記憶が表現される。

 

 

              「青春時代の記憶」

 

      個人の記憶や存在、不在を主なテーマになっていました。

 

 

 

 

 

 

彼は日本とも縁が深い芸術家で、国際展では越後妻有アートトリエンナーレ(2000年〜)と瀬戸内国際芸術祭(2010年)に参加、

2019年現在、大阪、東京、長崎と大規模な回顧展が開催されています。

 

 

 

 

 

                真ん中に見える作品は「ぼた山」

 

ぼた山は「黒の服が積まれた山」で2015年ベルギーの美術館が買い上げた作品でした。

炭鉱があったベルギーの街の美術館のために作られたもので積み上げられた黒い衣装は「炭鉱夫」のイメージでした。

 

 

 

 

 

            「発言する」(2005年、人型)

 

この古着の作品は前に立つと「人型」が囁くような声で語りかける作品でしたが、日本語も語られていたのですが聴き取れなくて残念でした。

 

 

   

 

               「アニミタス」チリ

 

「アニミタス」とはスペイン語で(小さな魂たち)を意味していました。

 

この作品の場所はチリの「アタカマ砂漠」で、調べてみると夜空の星が最もクリアに見える場所で、こんな場所で

「ピノチェト政権下」に拘束された人々が拷問され、捨て去られたという過酷な歴史を持つ場所でした。

この作品から流れていた「風鈴の音と風の音」は今も耳に残っていますが、亡くなった多くの人々の鎮魂歌(ちんこんか)にも聴こえてきました。

 

彼自身も「死後の世界」を表現していました。

 

 

 

 

 

                「アニミタス(白)」 

 

「アニミタス(白)」 カナダの北部で数百の風鈴を立てたものが映像として流れていました。

この風鈴の形は今は残っていないのですが、この作品が存在していた事は人間も同じで「人はいつかいなくなる」という暗示でしょうか。

真っ白な雪の中で風鈴がなり続けている様子は圧巻だったでしょうね。

 

 

 

 

          「黒いモニュメント」来世

 

この作品があった部屋はお墓の中をさまよっているようにも感じました。「来世」という文字が目の前に突然現れて。

「来世」というものがあるのなら、亡くなってしまった人たちに会いたい。

 

 

 

 

                「スピリット」

 

 

「スピリット」は50枚の柔らかい薄いヴェールで構成されていて、作家にとってさまよえる「霊魂」を呼び起こ

すものになっていました。

この美術館は「教会のようなものだ」とボルタンスキーは言っています。

 

 

 

  

                「ヴェロニカ」

 

最後に観た作品はキリスト教の伝承でキリストの処刑される「ゴルゴダの丘」に行く途中で十字架を背負わされ、その重みに苦しんでいた時、キリストに「聖ヴェロニカ」が彼の顔をぬぐい、その顔のイメージが彼女のヴェールに映ったという伝説をボルタンスキーがキリストのイメージを半透明の布を透かして「見える女性の姿」に置き換えていました。

 

 

 

「私は観客が作品の前に立つのではなく、「作品の中に入り込めるようなもの」を作りたいと思っています」とボルタンスキーは語っています。

今回、作品の一部しか紹介できませんでしたが、光が遮られた「教会」の薄暗い闇の中をさまよっているような、

確かに異次元の世界に入り込んだような錯覚を覚えました。

彼の幼い日から現在までの回顧展になっていました。

 

 

 

6月12日からは〈国立新美術館〉、10月18日からは〈長崎県美術館〉へ巡回します。

 

 

現在、レギュームのギャラリーでは今日まで陶芸家・青木良太さんの個展が行われています。

26日日曜日からは「6月の籠展」のために台湾の台北(たいペイ)だけではなく台中(たいちゅう)にも足を伸ばして買い付けてきます。

 

 

 

籠展は 2019・6・2(日)ー9日(日)までです。

夏は籠が似合います。

日本・韓国・台湾の籠や台北の茶器・茶葉・布なので探してきます。

 

 

 

今日の午前中にはカフェガイドの本を書いているライターで喫茶写真家の川口葉子さんが訪ねてくださって、お話とカフェ空間の撮影が行われました。

秋には出版される予定です。カフェ空間の写真をどんな風に撮ってくださったのか楽しみです。

このブログの韓国の残りがまだ終わっていないのに26日からは台北です。

 

 

日本も韓国も台湾も伝えたいことばかりですが、ゆっくりと伝えていきますので気長に待っていてくださいね。

 

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