千葉 古道具坂田さんの美術館 as it is 「擦れ、欠ケ、シミ、色退せ」
- 2018.04.23 Monday
- 04:21
JUGEMテーマ:アート、デザイン、日々 / Art, Design, LIFE
台北から帰国して、1月のテーブルコーディネートの教室も終わり、7月にある企画展の作家さんに会うために千葉県に行くことになりました。せっかく千葉県まで行くので、古道具坂田さんの美術館「as it is」を訪ねました。
名古屋からは遠く迷いましたが、どうしてもこの企画展は観ておきたくて行ってきました。
展示「擦れ、欠ケ、シミ、色退せ」デ、何か?
世の中は、新しくて、豪華な完品ほど美しいということになっていますが、酸いも甘いも知り、 一仕事を終え、ホッとひと息入れている古いモノにも、人の心を打つ深い美しさがあると説く人達もいます。 危ない考えですがas it isもその一人です。− 美術館 as it is
坂田さんのネットから。
この言葉の中に坂田さんの思いが全て含まれているような気がします。
坂田さんとは陶芸家・安藤雅信さんの会でお会いしました。
坂田さんは現代の「柳宗悦・やなぎむねよし)のようにも感じられました。
私自身も豪華なものよりも、古いモノに「深い美しさが宿っている」と思い込んでいる一人です。
テーブルのコーディネートにも空間の「室礼・しつらい」にも装飾にも日本とヨーロッパの古いモノを使います。
まだ寒い季節でしたが、空は気持ちがいい青空と白い雲
木々はまだ寒そうでした。
看板は作家・望月通陽(もちづきみちあき)さんの作品
望月さんはいつかギャラリーで企画展ができたらと思っている作家さんです。
朝の光が庭に注がれていました。
このキッチンのカウンターに並んでいる珈琲ミルの眺めも好きです。
カフェを始めるまでは毎日この珈琲ミルで豆を挽くのが日課でした。
挽きたての珈琲豆は新鮮でおいしい。
使い続けていい色になった木のテーブル
名古屋から東京を抜けてたどり着いて、ホッと一息
このテーブルでおいしい珈琲がいただけるのも嬉しいですね。
変わりなく今もある美術館のドア
このドアも作品のようです。
トタンについた「細かな傷」が色褪せ、年月とともに一つのアート作品になっています。
人物俑(じんぶつよう)
台北の故宮博物院でも観ましたが 人物俑(じんぶつよう)は「死者に使える侍女」で、
台北の博物院ではふっくらとした侍女でしたが、こちらは体の線も細く、楽器を持っているのでしょうか。
年若い娘さんのようでした。
これは「ぼろ布」ですけどと言われそうですが、この擦(す)れて、色褪(いろあせ)た布の「青の色」の組み合わせが美しいと思いました。
錆びた鉄の造形も完品ではないことが美しい
壁に影が映って作品をより美しく見せています。
私自身も鉄が錆(さび)で使えなくなった「フライパン」を「ラ・メゾン・デ・レギューム」の看板にしています。
レギュームと書かれた白の文字を「錆びた色」が深い美しさにしてくれています。
マジョリカ焼の陶片 描がかれた絵が全部見えないのもいいですね。
金継ぎをあえてしないで、欠けた器として飾られていました。
修復した「線」が模様になっています。
首がない欠けた姿ですが、所々にある小さな「白の欠け」が美しい表情になっています。
作った人にどんな思いがあったのでしょうか。
木製の子馬
小さな子供がひきづっていたような黒い紐がついていました。
坂田さんに見つけてもらってよかったね。
この子馬はレギュームの空間に連れて帰りたいと思いました。
この板も白の太い線と擦れた傷が作品になっています。
芸術家が逆立ちしても描くことができない「自然が作り出したアート」です。
坂田さんはどこでこれらの作品(板)を見つけてくるのでしょうか。
そっと跡をついて行きたい。
一度お聞きしたいと思っています。
この作品は韓国の紙だったような記憶です。
グレーぽい紙の色と黒が調和してアートになっています。
こちらは酸いも甘いも見続けて一枚の現代アートに。
ブルー&ホワイトの絵付けが優しい陶器でした。
素朴な人の表情がいいですね。
素朴な器にこそ驚くべき「美が宿る」 柳宗悦(やなぎむねよし)の言葉ですが、
坂田さんの美しいと思ったモノたちも「無欲で純粋」なものばかりでした。
ドアに貼ってあった古い紙の文字も日本のものではなさそうです。
誰が書いたのかはわかりませんが、ひたむきに書いた文字が印象に残りました。
庭から見た建物の土壁の色も錆色(さびいろ)でした。
これから東京・目白のギャラリーを訪ねます。